日本シリーズ第3戦の勝敗を分けた2つのポイント。元阪神・岩田稔がヤクルト高津監督の采配も分析

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 1勝1敗で迎えた日本シリーズ第3戦が11月23日、東京ドームで行なわれた。3回表に宗佑磨のライト前タイムリーで先制したオリックスは5回裏、先発・田嶋大樹から継投に入ったが、3番手のバルガスが3点を奪われて逆転される。しかし、直後の6回表、杉本裕太郎がライトにツーランを運んで同点に追いつくと、7回表には吉田正尚のタイムリー2塁打で1点を勝ち越した。オリックスは3試合連続登板となる吉田凌につないで逃げ切りを図ったが、7回裏、ヤクルトはサンタナがライトにツーランを放って逆転。8回をイニングまたぎの石山泰稚が抑えると、9回をマクガフが無失点に抑えて逃げきった。シーソーゲームの勝敗を分けたポイントはどこにあったのか。阪神時代の2014年に日本シリーズで先発し、今季限りで現役引退した岩田稔氏に聞いた。

7回裏に逆転の決勝2ランを放ったヤクルトのサンタナ7回裏に逆転の決勝2ランを放ったヤクルトのサンタナこの記事に関連する写真を見る 序盤から緊迫した展開で、見ていて本当に面白い試合でした。こういう一戦では、送りバントをする場面できっちり送るとか、ミスをしないとか、狙いどおりの野球をしっかりできているチームが主導権を握ります。ミスもありましたが、最後までどちらに流れがいくのかまったく読めない、これぞ日本シリーズという好ゲームでした。

 この試合、勝負を分けるうえで大きかったポイントは2つあります。

 1つは7回裏、ライトに決勝ツーランを放ったサンタナの場面です。ここまで2打数無安打(1四球)でしたが、ヒットの出ていないバッターに投げるのは、ピッチャーとしては結構嫌なものなんです。しかもサンタナはこのシリーズここまでノーヒット。オリックスバッテリーは多少、そういうことも感じながら勝負していたように感じました。

 さらに、2戦目まで行なわれた京セラドームから移動日をはさみ、3戦目から東京ドームになりました。「ホームランが出やすい球場」と言われていて、1、2点差の終盤で投げるピッチャーとしては「一発だけは避けなければ......」と思いながら、同時に「ランナーはためたくない」という考えも出てきます。

 もっとも怖いのは、気持ち的に引いてしまい、四球でランナーを出してしまったところでの一発。そういうことが起こり得る球場ですから、ピッチャーとして心理的に厳しい球場なんです。

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