2021.11.24

谷繁元信が「配球が難しかった」と感じた外国人打者5人「対ピッチャーというより、対キャッチャーの意識でくる」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

名捕手・谷繁元信氏が語る「配球が難しかったバッター」@助っ人編

 捕手として歴代最多の2963試合でマスクをかぶり、ゴールデングラブ賞を6度受賞。1988年ドラフト1位で江の川高校から大洋(現DeNA)に入団した谷繁元信氏は、通算27年間の現役生活で強打者たちと数々の名勝負を演じてきた。

 時に力勝負で押し切り、時に緻密な駆け引きで打ち取っていく。この場面では投手にどんな球を要求すれば目の前の打者を打ち取り、試合の勝利に一歩でも近づくことができるか......。そうした配球論に野球ファンが魅了されるのは、決して答えや方程式が存在しないからかもしれない。

ラミレスは日本球界13年間で通算2017安打を記録ラミレスは日本球界13年間で通算2017安打を記録 この記事に関連する写真を見る  谷繁氏が特に頭脳をフル回転させたのは、外国人スラッガーとの対戦だった。そのなかから「配球が難しかった外国人打者」を5人選んでもらうと、真っ先に挙がったのは、日本人以外で史上初めて名球会入りした右打者の名だ。

「まずはアレックス・ラミレス。バッティング技術もありましたしね。ラミレスは対ピッチャーというより、対キャッチャーという意識でくる。この場面ではこういうふうに攻めてくるだろうというボールを待って、確実に捉えてきました」

 外国人打者として初めて名球会入りした男は、日本球界で輝かしい成績を残した。2001年からヤクルトでプレーし、巨人、DeNAを渡り歩いた13年間で首位打者1回、本塁打王2回、打点王4回、最多安打3回。2008年から2年続けてMVPに輝き、計2017本のヒットを積み重ねた。

「ラミレスは相手ピッチャーに、自分が打ちたいところに投げさせている」

 現役時代に本塁打王を獲得し、西武のコーチとして清原和博や中島裕之(巨人)らを育てた土井正博氏がそう話していたことがある。実際、ラミレスは現役時代に頭のなかをこう明かしている。

「たとえば無死二塁なら、普通のバッターなら右方向を狙う。逆方向に打ったほうが、三塁にランナーを進める可能性が高いからね。ただ、自分は外角の球を狙って打つのではなく、内角の球を待つ。なぜなら、相手は外角に投げづらいからだ。外角の球なら、右方向に簡単に打ててしまうからね。だから、あえてインサイドの球を待つ。