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谷繁元信が「配球が難しかった」と感じた外国人打者5人「対ピッチャーというより、対キャッチャーの意識でくる」 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「カブレラはどの方向にもホームランを打てて、軽打もできる。めちゃくちゃ振っているように見えるかもしれないけど、バットコントロールもできるところにすごさがありましたね」

 来日1年目から3年連続本塁打王に輝いたバレンティンにも、カブレラと同じ特徴があった。

「日本に来て最初の頃は低めのボール球をよく振ってくれたり、インサイドを詰まってくれたりしていたけど、1、2年経って、配球もかなり読んで打つようになりました。もともとスイングが速かったところに、軽打もやり始めてから打率も上がってきて、厄介なバッターになってきました」

 年間60本塁打で日本新記録を樹立した来日3年目にはリーグ2位の打率.330で、いずれも同トップの出塁率.455、OPS1.234を残した。2018年には打点王を獲得するなど、勝負強さも光る打者だった。

 谷繁氏が名前を挙げた5人には、配球を読む力に加え、「バットが内から出てきて、広角に打てる技術持っていた」という共通項がある。頭と技を併せ持つから、捕手として苦労させられた。

 たとえば打者を「上・中・下」にランク分けした場合、「中」なら3通りの考えで抑えられるのが、「上」の打者には「5も6も7通りもいる」。どうやって抑えようかと頭を悩まされた一方、それこそがマスクをかぶる醍醐味だったと言う。

「キャッチャーが考えるということは、イコール、成長につながります。この5人のほかにも元広島のアンディ・シーツや元ドラゴンズのアロンゾ・パウエルなど、手強かったバッターはいっぱいいます。トップクラスのバッターを抑えるためにいろんなことを考えて、僕も彼らに成長させてもらいました」

 蓄積されたデータと独自の感性をもとに、瞬時に判断力、決断力を発揮する。そのうちに洞察力が磨かれ、たとえ打たれても次の打席ではなんとか打ち取ろうと、再び勝負に臨む。何度も対戦を繰り返すプロ野球だからこそ、打者対バッテリーによる駆け引きの妙も生まれていく。

 そうした配球論にはプロ野球の醍醐味が凝縮されているからこそ、ファンは魅了されるのだろう。

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