谷繁元信が「配球が難しかった」と感じた外国人打者5人「対ピッチャーというより、対キャッチャーの意識でくる」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 現代野球では、ストレートと見せかけてカットボールやツーシームを織り交ぜながらピッチトンネルを形成するという手も増えているが、谷繁氏の現役時代は手もとで動くファストボールを投げる投手はそれほどおらず、配球にも工夫が必要だったと振り返る。

「ここは打ちにきそうだなという時に、左ピッチャーが普通なら真っすぐで入りそうなところで、スライダーで引っかけさせる。1ボールからカウントを取りに来る球を打ちにきた時に、スライダーを投げさせて引っかけさせる。右ピッチャーだったら、セオリーではストレートという状況の時、シュートを投げさせてゴロを打たせる。いろんな方法を使っていましたね」

「横浜史上最高の外国人選手」とも評されたローズは1993年に来日し、日本での8年間で打率.325を記録。1999年には首位打者、打点王の二冠に輝いた。谷繁氏にとって心強いチームメイトだった一方、その打棒を捕手目線で見ながら、「穴が少ない」と感じていた。

「チャンスでは詰まってもヒット、バットの先っちょで打っても野手の間を抜けるヒットを打てる。いい当たりではなくてもヒットにできる技術を持っていました」

 弱点が少なく、少しでも甘い球になれば長打の危険性が高まる。谷繁氏が名前を挙げた5人は、いずれも打率を残せて本塁打も狙えるスラッガーだ。捕手にとって厄介だったのは、一発長打があるからだろうか。

「いや、彼らはチャンスの場面で、高い確率でヒットゾーンに飛ばす技術を持っていたのが一番嫌でした。別にホームランではないんです。彼らは高い確率でヒットを打てるように、配球を読んでくる。

 余計な球には手を出してきません。ボール球で誘っても、その球には見向きもしない。それでも、こっちとしては手を出させるように仕向けていかないといけない。そういうしのぎ合いでしたね」

 メットライフドームで推定飛距離180メートル弾を放ったカブレラは、2002年に当時の日本タイ記録となる55本塁打をマークするなど怪力を発揮した。見逃せないのは、日本での12年間で357本塁打をマークした一方、打率.303を残していることだ。

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