村上宗隆が史上最年少の100号達成。「こんな子がいたんだ」コーチ陣の言葉で振り返る成長の軌跡 (4ページ目)
3年目は新型コロナウイルスの影響で開幕が3カ月遅れ、120試合に短縮されるも、4番として全試合に出場。打率.307、28本塁打、86打点、87四球と文句なしの数字を残し、最高出塁率のタイトルを史上最年少で獲得した。選球眼のよさを示すBB/K(※)の数値も、前年の0.40から0.76まで上昇した。
※三振を四球で割った数値で、高いほど選球眼にすぐれていると言われている
そして今シーズンは4番打者としてだけでなく、ベンチでは先頭に立って声を出し、守備では8個の失策を記録しているが、誰もが認めるリーダーに成長している。2年前、セ・パ交流戦で日本ハムと試合をした日、宮本コーチは村上と清宮幸太郎の未来像についてこんな話をしてくれた。
「ふたりとも普通にいけばそれなりの選手になると思います。それよりも、子どもたちをはじめ、みんなが尊敬できるような野球選手の模範になってほしい。グラウンドでの立ち居振る舞い、ユニフォームの着こなし、凡打したあとの態度......。なにより、試合終了までグラウンドにいるのがスーパースターです。全部とはいかないかもしれませんが、そういう選手になってほしいと思います」
そしていま村上は、最後までグラウンドに立ち、チームはおろか、球界を代表する選手へと成長した。9月19日の試合前、杉村繁打撃コーチはここまでの村上についてこう振り返った。
「彼のいいところは、練習をすごく大事にすることです。じつに丁寧な練習をします。うまくなりたいという向上心と闘争心を持ち、あれだけ練習してもケガをしない頑丈な体を持っている。これは1年目から感じたことですが、不安もありました。プロ野球界には、プロ初打席初本塁打の打者は大成しないというジンクスがありましたので(笑)。
今回、最年少100本塁打ということで中西太さんや清原和博といった歴代の名選手の名前がでてきました。私は実際に清原の打撃を見ていますが、あの清原の記録を抜こうとしているわけです。今後、どんな選手になるのか楽しみしかないですよね」
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