中日・柳裕也、5年目ブレイクの理由。春季キャンプで感じた違和感、先輩・涌井秀章に学んだこと
中日・柳裕也インタビュー@前編
大卒5年目の今季、中日の右腕投手・柳裕也がセ・リーグでトップレベルの好成績を残している。
7月8日時点で、防御率2.50は2位、7勝は4位タイ、奪三振103は最も多く、クオリティスタート11回は最多タイだ。1イニングにどれだけ走者を出したかを表すWHIPは0.92と、リーグ随一の数字である。オールスターには選手間投票で選ばれた。
その投球内容には評価ポイントが数多くあるなか、柳自身はどこに最も手応えを感じているのだろうか。
今季セ・リーグで群を抜く成績を残している中日・柳裕也この記事に関連する写真を見る「イニングじゃないですか。でも、完投を1回しかしていないんですよね。去年、大野雄大さんが投げるたびに完投、完封というのをずっと見てきたので、最後までマウンドで投げるという思いはかなり強くなりました。今年、8回まで投げたのは何試合かあったけれど、あと1イニング、最後まで任せてもらえるようにしたいですね」
大野は昨季、リーグ最多の10完投を記録。そのうち6試合は完封で、沢村賞に輝いた。現代野球では投手の分業制が当たり前となったなか、これぞエースという投球を続けてチームを8年ぶりのAクラスに押し上げた。
偉大な先輩左腕に触発された柳は今季、セ・リーグで誰より多い投球回数を投げている。15試合で100.2回は、2位の西勇輝(阪神)を11イニング上回る。完投は1回で、6月1日にロッテ打線を1安打でシャットアウトした。指名打者制のないセ・リーグで、8イニング以上を5度投げているのは高く評価できる。
昨季は右腹部の筋挫傷など2度の故障で戦線離脱し、規定投球回に届かなかった。だが、なぜ今季は巻き返すことができているのか。その答えのひとつが、コンディショニングだ。
今季の柳に大きな影響を与えた"エース"がもうひとりいる。同じ横浜高校出身で8歳上の先輩、涌井秀章(楽天)だ。2021年1月5日、千葉県館山市で毎年恒例の自主トレを行なう涌井の門を叩くと、約2週間、噂に違わぬ姿を目の当たりにした。
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