中日・柳裕也、5年目ブレイクの理由。春季キャンプで感じた違和感、先輩・涌井秀章に学んだこと (3ページ目)
トレーニングで筋量アップや身体操作性を高め、長いペナントレースを戦い抜くための土台をつくる。そして長い距離を走ることで、自分の体の現状を感じながらコンディションを整えていく。
両者にはそれぞれの目的があり、柳にとって、ともに不可欠なものだ。重要なのは、なぜそれを自分自身が行なうのか、意思を持って取り組むことである。
涌井との自主トレで、柳が"伝授"されたと報じられたものがある。シンカーだ。数年前から投げている球種だが、握りやリリースの仕方を涌井に教わった。解説者によってはチェンジアップとも表するこの落ちるボールは、今季の柳を支えるひとつである。
ただし、今季投げているシンカーは、涌井に教わったものではない。
「涌井さんに教えてもらったシンカーをオープン戦の時に投げていたんですけど、なかなかうまく投げられなくて。だから、今は投げていません。2年前のキャンプで阿波野(秀幸/投手コーチ)さんに教えてもらったシンカーをずっと投げています。その精度は上がりましたね」
今季開幕前のオープン戦では3試合に登板し、16イニングで自責点14と打ち込まれた。進化させようと取り組んだシンカーを操れなかったこともあり、思うような投球をできなかった。
そして、今季の自身初登板を1週間後に控えた3月20日。本拠地バンテリンドームでのオープン戦で日本ハム打線に対し、4回まで7失点とめった打ちを食らった。
「自分の投げている球の感覚と、バッターのリアクションが全然合わなかったので、なんか気持ち悪いままオープン戦をずっと過ごしていました。でも、日本ハム戦の最後の1イニング、5イニング目にひらめきで、ちょっと戻してみようかなって思いました」
昨年途中に故障から復帰すると、プレートを踏む位置を三塁側から一塁側に変えた。その違いは幅60.9cmだが、投手にとって大きな違いを生むものだ。
柳が投球板の位置を踏み変えた理由は、ふたつある。ひとつは、右打者の内角に角度をつけてストレートを投げ込みたかったこと。もうひとつは、2020年からシンカーの投球割合を増やしたためだ。
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