「うまくパフォーマンスが出せない」
不安な松井裕樹に田中将大が授けた金言 (4ページ目)
救援に回って最初のマウンドとなった10月1日のソフトバンク戦こそ、「出力の上げ方が短いイニングに慣れていなかった」こともあり、1回2失点と波に乗れなかった。だが、次からはいつもの松井だった。14試合でわずか1失点。トータルで16回1/3を投げ25奪三振、防御率1.66と安定感を示し、最終的に自分が輝いていた居場所に就いた。
「先発とリリーフのいいとこ取りができたというか。出力をうまい具合に使えるようになったかなって思いますね」
投手としての練度を高め、今季は守護神として再スタートを切る。
前向きに、悩む──チームメイトとなった偉大なる先輩の田中が、正しいと教えてくれたことだ。シーズンが開幕すれば、あとは迷わず、冷静に腕を振るだけだ。
8年前。田中が両腕を突き上げた歓喜の場所で、今度は松井が同じように雄叫びを上げる──早計だが、多くのファンがそれを望む。そう向けると、帰ってきた守護神がにやりと笑い、短く、明朗に答えた。
「頑張ります」
今は、その言葉で十分だ。
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