「森・野村」のハイブリッド野球で優勝。辻発彦と渡辺久信が両監督から学んだこと (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

 野村の言う「お前のプレー」とは、優勝がかかった1992年日本シリーズの第7戦でのこと。1-1で迎えた7回裏、ヤクルトの攻撃。一死満塁の場面で代打・杉浦享の放ったセカンドゴロを好捕した辻が、三塁走者の広沢克己をホームでアウトにした場面のことだった。この場面で辻はあえて半身で捕球して勢いよく回転することで、ホームへ力強いボールを投げて走者を封殺した。

「野村さんの下で野球を学ぶことができ、ヤクルトでの4年間は自分の人生において、ものすごく貴重な時間となりました」

 西武で森野球を、そしてヤクルトでは野村野球を学んだ渡辺久信は、2008年に西武の監督に就任すると、すぐに日本一の栄冠をつかみ取った。一方の辻も2017年に西武の監督に就任。翌2018年、2019年と2年連続でリーグ優勝を成し遂げた。そこには、森の教えだけではなく、野村の教えも加味されていたのは疑いようのない事実だろう。

(第5回につづく)

■長谷川晶一 著
総勢50名の証言で紐解く史上最高の日本シリーズ
『詰むや、詰まざるや 森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)詳細はこちら>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る