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五十嵐亮太がヤクルトの若手たちに贈る言葉。
プロの世界で生き抜く術 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 五十嵐は先輩から学んだことを、言葉だけでなくプレーや練習している姿を見せることで、「(若手選手たちに)何かを感じとってほしいという気持ちでやってきました」と語った。

「プロ野球の世界で活躍を続けるのは非常に難しいことです。(それを実現するには)野球との向き合い方が大事だと思います。自分がどうなりたいのか、しっかりとしたビジョンを持つ。負けないものを1つでも2つでも見つけ、それを磨いてほしい。どんな時もあきらめずに希望を持ってグラウンドに立ち続けてほしいですね」

 今年のヤクルトは高津新監督のもと、再出発を図った。一時は首位に立つこともあったが、最終的には2年連続の最下位に沈んだ。シーズンを追いながら感じたのは、若手、中堅、ベテランたちが、ぞれぞれの"問題"に直面しているように見えたことだ。

 五十嵐にこれまで自分とどう向き合ってきたのかを聞くと、こんな答えが返ってきた。

「現実を受け入れることですね。若いうちは、まずは自分のやるべきことを今までどおり続ける。ベテランになってくると、考えることがいろいろ増えてきます。でも、やっぱり自分がどうなりたいのかですよね。しっかりしたビジョンを持ち、そこに向かって地道に行くしかない」

「何事も辛抱ですか?」と聞くと、「そうですね」とうなずいた。

「ヤクルトに限らず、長いシーズンを戦っているとうまくいかないこともある。大事なのは、地味ではありますけど、一歩一歩前に進んでいくことなんです。これはソフトバンク(2013〜18年に在籍)の時もそうでした。辛抱しながらやっていくことが、結果的にプラスになっていく。その時間は決して無駄ではないと思います」

 現役での23年間、五十嵐はほとんどの時間をブルペンで過ごした。

「中継ぎをやっていて『いいな』と思ったのは、やっぱり毎日ベンチに入れることですよね。ブルペンではチームメイトと、野球についてや試合の流れなど、いろいろな話ができました。若い頃は高津監督がブルペンのリーダーを務めてくれて、場の空気をつくってくれました。それはチームにとって大切なことだと思います」

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