巨人・坂本勇人の4発に驚いた高校時代。左利きが生んだ高度な打撃技術
巨人・坂本勇人が11月8日のヤクルト戦でスアレスから2塁打を放ち、通算2000本安打を達成した。
若手だ、若手だと思っていたら、もうプロ14年目。ホームランを打った時の笑顔など、まだあの頃の"高校生"のままだし、なにより巨人の、しかもショートという過酷なポジションを10年以上も守り続けてきたというのに、プレーの精度が落ちたとか衰えが見えるとか、そのようなものがまるで感じられない。それが坂本の凄みでもある。
プロ野球史上53人目の通算2000本安打を達成した巨人・坂本勇人 ある雑誌の取材で光星学院(現・八戸学院光星)のグラウンドを訪れたのは、坂本が高校3年の秋だった。
アップ時から後輩たちに混じって、投げて、打って、守って......現役以上のテンションですべての練習に取り組んでいる姿を見て驚いた。
高校3年の秋といったら、自分のやりたいことだけやって帰る"つまみ食い練習"が普通なのに、坂本は違った。
「秋から冬の間に、夏よりもうワンランクうまくなっていないと、プロに行ってから厳しいじゃないですか。だってプロは高校よりも3つ以上もレベルが上がるんですから」
こういう話をする時の坂本の顔は怖かった。しかしそれ以外の、たとえば家族や幼い頃の話になると、穏やかな笑顔を見せて、優しい青年の雰囲気を振りまいていた。
「ここ(光星学院)の練習量はハンパないですから。それをこなしてきましたから、持久力と精神力は絶対に負けません。冬場はさらに練習量が増えるんですけど、心も体もへばって『もうダメだ』と思った時に、金沢(成奉)監督(当時)から『体は心で動くから、まず心を動かせ』と言われのは効きました。プロへ行く時に大切に持って行こうと思っています」
心を動かして、体を動かして、過酷なショートのポジションを守り続けながら2000本安打到達。フィールディングもバッティングも休むことなく磨き続けてきた何よりの証だろう。プロフェッショナルになったものだと、あらためて敬意を表したい。
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