ロッテが起こした応援革命。王貞治が激怒した桜吹雪の演出秘話 (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

◆里崎智也「名捕手にリードは関係ない」>>

――横山さんは球場の演出にも関わられていましたが、印象的なエピソードはありますか?

「2005年4月1日の、マリンスタジアムでのソフトバンク戦で『お花見ナイター』という企画があって、5回終了時に桜吹雪を飛ばすことになったんです。桜と葉っぱの形をした舞台演出用の紙があるんですが、それを山ほど買ってきて、送風機を置いてスタンドからグラウンドに向かってブワーっとやったんですよ。

 当初はグラウンドに紙が入るとは思っていなかったんですが、浅はかでしたね(笑)。風が強くて全部グラウンドに入ってしまい......。しかも拾いにくい小さな紙だったので収集がつかず、竜巻みたいになって試合が中断しました」

――ソフトバンク側も戸惑ったんじゃないですか?

「当時のソフトバンク監督の王(貞治)さんがすごく怒ってしまって......。普段の王さんは温厚な方なんですけど、あの時は本気で怒っていましたよ。試合中断中に、ベンチ裏で『バカにしてるのか!野球をなんだと思っているんだ』と、ロッテの演出担当に対して大激怒。僕もその場にいましたが、あんな王さんは見たことがありません。とにかく人海戦術で、全部は無理でしたけど紙を取り除いて再開にこぎつけました」

――その頃のロッテは、第二次バレンタイン政権。バレンタイン監督といえば、ファンサービスのイメージが強く残っています。

「そこは徹底していましたね。少しでも時間があればサインをしていましたから。メジャーでの実績がある監督で、いつもニコニコしていたバレンタインさんが完全にマリーンズのイメージを変えたと思います。

 ファンからも愛されていました。みんな1995年(ロッテをリーグ2位に導くも1年で解任)のバレンタインさんが好きだったし、いつか戻ってきてくれると思っていた。(1996年からバレンタインが指揮を執った)ニューヨーク・メッツを現地まで応援に行くファンもいたぐらいでしたからね」

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