千賀、甲斐は三軍から大化け。
大道典良が明かすホークス育成法の秘密 (3ページ目)
その甲斐あって、千賀は1年目の8月に150キロをマーク。中日ドラゴンズの関係者が「こんな選手が地元にいたのか」と驚いていたそうだ。2年目の春のキャンプで一軍に帯同し、4月には支配下登録を勝ち取ると、3年目に中継ぎとして27試合連続無失点を記録するなど頭角を現した。
千賀が覚醒したのは、先発投手に転向し、自己最多の12勝(3敗)を挙げた2016年だろう。翌年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で通称"お化けフォーク"が話題になったが、倉野コーチによるとフォークはドラゴンズの吉見一起との自主トレで教えてもらったらしい。向上心や好奇心が人一倍強く、新人の頃から知りたいことがあるとすぐに人に聞きに行っていたそうだ。
2017年から3年連続13勝。ノーヒットノーランを達成した2019年には227奪三振で初のタイトルを獲得し、ゴールデングラブ賞、ベストナインを受賞。「日本のエース」と言われるまでになり、そのオーラは、かつてのエース斉藤和巳や、メジャーで活躍するダルビッシュ有、田中将大といったスター選手に匹敵するレベルまで来ていると私は感じている。
ただ、倉野コーチによれば、今の千賀はまだ5、6割。一球一球に対する集中力を改善する余地があるそうだ。「球は速いし能力的にはトップクラスなので、多少(力を)抜いても抑えられるが、そういう時に限ってホームランを打たれる。一方でピンチの時の非打率は低い。そのバランスがもっとうまくできればさらに洗練される」と倉野コーチは言っていた。育ての親は、温かくも厳しい。
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