吉見一起「だます」投球の極意。「イチ・ニ・サン」と「イチニ・サン」

  • sportiva●文 text by sportiva
  • 松田崇範●写真 photo by Matsuda Takanori

マンガ『BUNGO-ブンゴ-』の作者が
プロ野球春季キャンプを取材!
~中日ドラゴンズ・吉見一起編~

中日ドラゴンズ・平田良介編はこちら>>

『ヤングジャンプ』で連載中の野球マンガ『BUNGO−ブンゴ−』。中学(シニア)野球を舞台にした甲子園のための甲子園を超える死闘を描き、人気を博している。その最新22巻の発売を記念して、作者の二宮裕次先生がプロ野球チームの春季キャンプを訪問し、選手たちを取材した。

 最後を飾るのは、中日ドラゴンズの吉見一起投手。その野球人生を振り返ってもらいつつ、大事にしている野球観について話を聞いた。

自身の投球術について語った吉見一起投手自身の投球術について語った吉見一起投手 じつは、吉見投手は高校2年生になるまでにプロになることは全く考えていなかったという。だが、高校卒業のタイミングでプロになることを誓い、社会人野球へと歩みを進めた。

二宮裕次(以下二宮) 社会人野球のトヨタ自動車時代はプロになるために、という思いが強かったと思いますが、そこで学んだことを教えてください。

吉見一起(以下吉見) 当時の監督、廣瀬(寛)さんに「常に考えて野球をしなさい」ということを言われていたのですが、そのことは今でも大事にしています。でも、当時は正直何を言っているのか全然わからず、「ピッチャーって、投げて抑えればいいだけやん」と思っていました。だから、そこで何か変われることはできませんでしたが、考えることに興味を持つとことはできました。

二宮 そこから自分の投球についても考えるようになったということですね。

吉見 プロになってから、当時、中日の正捕手だった谷繁(元信)さんにも同じようなことを言われました。僕は、武器になるようなボールがあるわけではないと思っていたので、自分がプロの世界で生き残っていくためにどうしたらよいのか考えました。バッターをだましながら投球をすることが僕にとっては必要でした。

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