吉見一起「だます」投球の極意。「イチ・ニ・サン」と「イチニ・サン」 (4ページ目)

  • sportiva●文 text by sportiva
  • 松田崇範●写真 photo by Matsuda Takanori

吉見 15メートルでもいいから、ずっと投げる練習をして、確実にストライクが入るようになったら一歩下がる。そこでまた練習をしてできるようになったらまた一歩下がる。で、最終的に18.44メートルにたどり着く、という練習をしたほうがいいんじゃないのかって思っているんですよ。成功体験を増やしていくことが大事ですね。

 いきなり18.44メートル、逆に20メートルから始めたら、きっとすごく遠く感じてしまうので、力んだり、どこかにズレが生じてしまう。なので、とりあえず近い距離で、目をつぶっても投げれるくらいにしたほうがいいんじゃないかと。そうやって成功体験を積みながら体に覚えさせていくのがいいのではと感じています。

二宮 なるほど、ありがとうございます。『BUNGO−ブンゴ−』は中学野球を描いていますが、中学生、高校生のときにやっておけばよかったとか、もしくは、その子たちがやっておかなければいけないことはありますか。

吉見 これをしなさいっていうのはないと思います。例えば、素振りをしなさいとか、ウエートをしましょうとか。ただ、自分が毎日できることを継続してずっとやっていたらどうなるのだろうという思いはありますね。

 例えば、毎日5キロ走るとなると、どこかでやらなくなる。でも、ちょっと大げさですけど、一日素振りを10回必ずするとか、小さなことでもいいので、継続してやる、考えてやるってことが大事なのかと思いますね。

 中学生だと情報量も少ないので自分で考えながら練習をするというのは難しいかもしれませんが、やっぱり自分で考える、好奇心を持つ、向上心を持ってやることが大事だと思います。若いときにそうやっておけば、野球以外のところでも役に立つのではないかと思っています。

 自分で考えて、失敗もしながら、自分に合うやり方を見つけていくということを常にやっていけばいいんじゃないかと。

二宮 まさに吉見投手が社会人時代に廣瀬監督、プロ入りされてから谷繁選手に言われたことを実践してみてほしいというわけですね。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る