千賀、甲斐は三軍から大化け。
大道典良が明かすホークス育成法の秘密
大道典良が明かすホークスの育成 前編
昨年、日本シリーズ3連覇を果たした福岡ソフトバンクホークス。そのエースである千賀滉大、正捕手の甲斐拓也が育成ドラフトで入団し、三軍から這い上がってきたことは野球ファンの誰もが知るところだろう。
今や日本を代表するバッテリーへと成長したが、注目度が高くなかった高校時代にどのように見出され、育てられたのか。2017年にホークスの三軍打撃コーチを務めるなど、多くの選手を育成してきた大道典良(現ホークス二軍打撃コーチ)に、ふたりの入団当初の話を聞いた。
【"俺だけのコイツ"だった千賀滉大】
育成選手というと、「ドラフト8位、9位レベルの選手」というイメージがあるかもしれない。しかし、拙著『日本プロ野球育成新論 三軍制が野球を変える』でも紹介したとおり、福岡ソフトバンクホークスの福山龍太郎スカウトは「支配下選手は平均点オールクリア、育成選手は"一芸"」と明確にすみ分けている。マイナス面もあるが、何か光るものを持っている選手が育成ドラフトで指名されるのだ。だからこそ、ホークスの育成選手は大化けする。
日本代表でも活躍する甲斐(左)・千賀(右)バッテリー photo by Sankei Visual 支配下で指名する選手のことはどの球団のスカウトも知っているし、みんながいい選手だと認める。しかし、育成で指名する選手は、ホークスのスカウトにしてみれば「自分だけがコイツのよさをわかっている」。つまり、福山スカウト曰く「"俺だけのコイツ"をいかに見つけられるか」なのだ。
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