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西武・栗山巧が積み重ねた1806安打の価値。
「1本打つのが大変」の真意 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「一番は経験もあります。でも、今の僕は与えられたところでしっかりやるだけ。また明日も試合が続きますし、スタメンで出たいという気持ちもあります。しっかりアピールすることに集中して、というのはありますね」

 昨年9月頭に外崎修汰が負傷で戦線離脱する直前、栗山は控えに回る機会が多かった。それでも、若手がアーリーワークを行なっている時間に球場に来て、入念に準備を続けていた。

 先発出場でも、代打に回っても、栗山の姿勢は変わらない。35歳になった今も、現状より少しでも上を目指そうとしている。

「ヒット1本を打つ難しさは、若い時と変わらないところと、変わるところがあります。監督から求められるものが、若い頃とは違ってきますよね。ここぞで、1本打ってほしい。そういう意味では、1本1本が重いかなという感じはありますね」

 積み重ねた1806本の先にあるのは、2000本だ。年齢を重ねて1本1本の重みが増すことで、追い求める価値も比例して高まっていく。

 栗山は、ヒットを打てることは「たまたま」だと言う。野球は偶然性の高いスポーツで、とりわけバッティングは受け身の動作だ。そうしたことを考えると、結果はあくまであとからついてくるもので、だからこそ自分にできることを着実に続けていく。

 1本のヒットという「偶然」を引き起こすのは、小さな必然の積み重ねだ。そうやって繰り返した結果、栗山はライオンズ史上最高の安打製造機になった。

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