2019.08.31

西武・栗山巧が積み重ねた1806安打の価値。
「1本打つのが大変」の真意

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 1806安打――。

 2000本の金字塔にあと194本足りないこの数字は、西武ライオンズの選手にとって大きな意味がある。首位ソフトバンクに勝利してゲーム差1と迫った8月30日、高卒18年目の35歳、栗山巧が通算安打数の球団記録に並んだ。

プロ18年目で球団最多安打記録に並んだ栗山巧「偉大な記録なので。超すとか超さないとかそういうことではなくて、あくまで目標として早くそこをクリアできるように」

 8月25日の楽天戦の前、栗山はそう語った。「ミスターレオ」と呼ばれた石毛宏典が保持する通算安打数の球団記録に、ついに肩を並べた。

「個人として掲げる目標ではないですけど、球団記録としてあるので、そこをひとつの目標にしてやっていきたい気持ちは、多少なりともありました。あと4本?」

 報道陣に記録までの本数を確認した後、続けた言葉は意外なものだった。

「超えるには5本ですね。1本打つのが本当に大変なので、何とか1本ずつの積み重ねのなかで、結果、行けたらいいなという感じですね」

 1800本以上もヒットを重ねてきた男が、「1本打つのが大変」と言うのだ。驚かされると同時に、こうした思考に栗山の真髄を見た気がした。

 リーグ最多安打に輝いた2008年から外野のレギュラーを張り続けた栗山は、2017年以降、スタメンを外れる機会が増えた。くしくも2016年オフ、フリエージェント宣言をして残留を決めた翌年である。

 2017年に辻発彦監督が就任すると、ベンチスタートが増えた。2017年はスタメンが95試合、途中出場が21試合だったが、2018年はスタメンが88試合、途中出場が26試合と、控えに回る機会が増えた。

「気持ちの上下動はもちろんあるんですけど、決して後ろ向きになることなく、グラウンドに来た時にはしっかりしたプレーをすることだけを考える。よりうまくなるために、とだけ心がけていました。みんなそうですからね。難しい話ではないです。シンプルに、単純なことです」