今季中のNPB復帰は消滅も、西岡剛「野球を続けることに変わりはない」
7月31日をもって、『野球協約』第64条に規定される新規選手契約可能期間、および第108条に規定される選手契約の譲渡可能期間が終了した。昨年までにプロ球団を戦力外となり、NPB復帰を目指していた選手や、支配下登録を目標にプレーしていた育成選手の多くは、複雑な思いでこの日を迎えたに違いない。
かつて、千葉ロッテ、米メジャー・リーグ、阪神でプレーし、日本代表としてWBCや五輪出場経験もある西岡剛は現在、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに在籍している。今季中のNPB復帰がかなわなかった西岡に、今の率直な思いを聞いた。
試合後、対戦相手の選手から写真撮影を頼まれることもある西岡剛(写真右)── 7月31日を過ぎて、今季のNPB復帰はなくなりました。どのように受け止めていますか。
「なんとも思ってないですね。今年無理やったら、来年またやればいいだけの話なので。"過程"って感じです。ずっと野球をやっていくのは一緒なので」
── 今年ダメなら、もうユニフォームを脱ぐんじゃないかと思っていたファンも多いと思います。
「辞めないですよ」
── 昨年、阪神を戦力外になり、栃木入りを決めた時、「1年勝負してダメだったら......」とは考えませんでしたか?
「まったく。野球が好きだから、やってるんですよね。で、やる以上は、ここより上のレベルがあるのならば、そこを目指してやる。これほど幸せなことはないっていう考えです」
── 子どもの頃からずっと野球をやってきて、今の好きのレベルはどれくらいですか。
「ロッテに入団してレギュラーを獲った頃、一軍で試合に出だした頃と似ていますね。僕、ホントに野球が好きなんです。でも、やっぱり人間なんでね。ケガが続いて、復帰したと思ったらまたケガして......そんなことを繰り返した時、結局、最後は復活できずに、成績を出せずに終わってしまったわけですけど、正直、その時は野球を嫌いにはならないけど、面白くはなかったですよね。
野球選手がリハビリで1年過ごすって、本当に大変なんです。甲子園だったら4万人以上の人が入る。あの観客の前でプレーしたいと思ってリハビリするんですけど、その間隔が空いてくると『成績を残さないといけない』『ファンの期待に応えないといけない』と考え出して......純粋に野球に取り組むんじゃなく、自分の存在意義を探すのに必死になってしまう。そうなると野球ではなく、メンタルの闘いになってしまうので、ちょっと面白くなくなってしまったんですよね。
アキレス腱を切った時(2016年7月20日の巨人戦=甲子園で走塁中に左アキレス腱断裂)、本気で辞めるって決心したんです。でも、いろんな人の支えがあって、いろんな人の助言を聞いて、続けてみた。だから、僕のなかではあそこで一度終わっているというか......あの2016年から、イチからではないと思いますけど、ちょっと考え方も変えて、あらためて野球に取り組み始めて、まだ3年。僕の野球人生を考えると、4歳から始めて30年くらいやっているし、プロに入ってからも15年以上やっているんで、みんなそういう風(ベテランのよう)に見ていると思うんですけど、僕のなかでは"まだ3年"なんですよ」
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