村田修一が高卒1年目の打撃論にあ然
「ヒットの理由をメモしました」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Nikkan sports/AFLO

──続いて、パンチ力もあるスイッチヒッターとしてブレイクした若林選手についても伺います。

【若林晃弘のコメント】
「タイミングの取り方と、両手でしっかり振るということを重点的に指導してもらいました。今でも打席に入る時には、それを意識しています。村田コーチは、常に選手としっかり向き合って話をしてくれます。積極的に話を聞きたくなるような雰囲気がありますね」

──このアドバイスについてはいかがでしょうか。

「若林は積極的に話を聞きにくるタイプなので、僕がわかる範囲のことはすべて伝えています。タイミングの取り方については、右打席は僕が指導し、左打席は金城(龍彦/ファーム打撃兼外野守備)コーチに任せました。スイングの始動が遅い傾向があるので、それも指摘しましたね。あとは、ファームでは両手でバットを振り、強く遠くにボールを打ち返すことを意識するように伝えました。それを意識してくれたら、一軍に上がってから掴むものもあるだろうと」

──増田選手、若林選手は現在も一軍で活躍していますが、ふたりに続くようなファームの注目選手はいますか?

「光るものがあるなと思ったのは、右投げ左打ちの高卒ルーキー(2018年の育成ドラフト1位で巨人に入団し、7月5日に支配下登録された)、山下航汰です。彼は"異質"というか、最近の1年目の選手としては久しぶりに見る逸材だと思いました」

──どのような部分が"異質"なんでしょうか。

「対応力が抜群に高いですね。高卒ルーキーは、金属バットから木製のバットに変わった時に打球が飛ばない、変化球にアジャストできないといった壁にぶち当たることも多いんですが、『そうじゃない奴もいるんだな』と。プロ1年目であれだけ打てる選手はなかなかいません。

 打撃に関しては自己分析ができています。先日も、山下に『最近、調子悪くなってきたな。どうするの?』と聞いたら、修正点をはっきり答えましたし、『俺もそう思うからやってみな』と言った数試合後にはもう修正できていたんです。また、難しい球をヒットにした理由を山下から聞いた時は、詳しくは言えませんけど、その内容を思わずメモしましたよ(笑)。そういった意識を持っているため、好不調の波があまりないんです」

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