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ヤクルト石井琢朗コーチの珍練習再び。
ボールではなくバットが飛んだ (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Nikkan sports

「バットを真っすぐ投げるにはどうすればいいのか。投げる時になぜ引っかかってしまうのか......そのことを自分で考える練習でもあると思います。毎日いろんなことを教えてもらいますけど、それを単に消化するだけじゃ成長しない。ユニークな練習もしっかりした意図があって、すごく大事だなと思いました。

僕の場合は、コーチから『振れ』と言われたら、とにかく真面目に数多くそれをこなしていました。それができたら次のことを教えてもらって......。でも、その繰り返しでは"点"でしかなく、自分の形はぼんやりしてしまいます。今年は積み重ねてきたものを1つの""にしたいですね。それが自分のバッティングになると思います」

 奥村は今シーズン、外野守備にも取り組み、背番号も56から00に変更。「今まで以上に大事なシーズンになると思っています」と気を引き締めた。

  廣岡と塩見は「真っすぐ飛ばす」という点で安定感はないが、ツボにハマった時の圧倒的な飛距離と高さは群を抜いていた。

 4年目となる廣岡は「まだ(2回目なので)よくわかっていないのですが......」と前置きした上で、次のように語った。

「この練習はバランスという意味でとらえています。バランスが悪くなると引っかけたりしてしまう。手だけでやるのではなく、体全体でセンター方向へ向かって......という感覚です。僕は腕が長いこともあるのですが、どうしてもバットが外側から出てしまいます。まずそのスイング軌道を変えることから始めて、それをずっとやってきました。飛距離は伸びたので、それが実戦でもできてくれば自信になる。そのためにも、試合で縮こまらずにやっていきたい。やろうとしている方向性は間違っていないと思います」

 続けて廣岡は「昨年の悔しい思いを忘れずにやっていきたい」と、今シーズンにかける思いは強い。

 2年目の塩見は、バットが真っすぐ飛ばずに苦しんだが、高く、遠くへ飛ばすことにかけてはトップクラスだった。

「この練習が大事だと思っていますが、見てのとおりです。引っかくようなバット軌道が多いので、なかなか真っすぐに飛ばすことができません。小手先でやっても、うまくいかない。きちんと体全体を使って、覚えていかないといけないですね」

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