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引退試合後に後藤武敏を喜ばせた、
息子からのまさかのサプライズ (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

―― やはり引退後は指導者へという願望はありましたか?

「ゆくゆくは、と思っていました。子どもの頃からここまで野球をやってきましたから。でも、じつはベイスターズからも球団に残らないかというお話はいただいていたんです。コーチ職ではありませんでしたが、7年間もプレーさせていただき、ファンの方にもたくさん応援していただいて、最後には引退試合まで行なってくれたベイスターズを離れてすぐに違うユニフォームを着るのはどうなのかとかなり悩みました。

 でも、自分の中で恩返しは今すぐでなくてもできるのではと考えるようにしました。まだ自分には足りないことだらけです。これからコーチとして知識を吸収して、経験も積んで、もしいつかまたベイスターズに戻る機会をいただけるのであれば、今の何倍も恩返しになるかなと。だから今は、引退した次の野球人生の夢に向かって楽天で勝負しようと決めました」

―― 秋のキャンプですでにコーチ業をスタートさせています。いかがでしたか?

「やはり指導って難しいです。どうしても自分のやってきたことや信じていたやり方の中でしかうまく伝えることができない。だけど、選手はみんな同じじゃない。そこに自分の未熟さを感じました。だけど、それも秋に経験しないと気づけなかったこと。これから色々と勉強して、実践していきたいですね」

―― 楽天の若手選手は実際に接してみていかがでしたか?

「元気で一生懸命な選手が多いです。熱心だし、自分から興味を持って聞きにくる選手も多いなと感じました」

―― 後藤さんもご自身の経験上、二軍で活躍しても一軍では......という壁を感じられたことがあったのではないですか。

「ありましたね。たとえば同じアウトコースでも、一軍だと遠く見えるんです。だけど、それがストライクになる。やっぱり一軍の投手はぎりぎりのコースにきっちり投げられるコントロールを持っています。だからこそ甘い球をミスショットしたらチャンスはない。その1球勝負です。レギュラーは4打席ありますが、ファームから上がった若い選手は代打から始まります。そこで結果を出したもん勝ち。そのような部分は伝えたいですね」

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