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引退試合後に後藤武敏を喜ばせた、
息子からのまさかのサプライズ (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

―― すごい! 父親としてこんなにうれしいことはないですよね。

「うれしいです、ほんとに。今まで強制したことはなかったし、球場にもそれほど呼ぶ方ではなかったので。いまは休みの日も『友達と野球してくる』と言って公園に行ったり、プロ野球にもめちゃくちゃ詳しくなって、自分で動画を見つけ出して『イチロー』『柳田』ってマネしています。息子は左打ちなんでね。

 嫁さんもあの日を境に何があったのかしらって驚いています。引退セレモニーの時、オープンカーに乗ってグラウンドを一周する時に子どもも一緒に乗せたんですよ。自分のプロ野球選手としての最後の姿を見せたかったし、そういう経験ってなかなかできることじゃないですから......。何か感じてくれたらと思ってはいましたが、今もまだ驚いています」

―― 今はご家族と過ごされる時間も多いと思いますが、来季からは楽天の二軍打撃コーチとして新たな野球人生のスタートですね。単身赴任は寂しいのでは?

「僕も最初は子どものためには近くにいた方がいいのではと悩みました。でも、嫁さんは『関係ないんじゃない?』って。自分の夢や目標、やりたいことを頑張っている姿を示してあげる意味でも仕事として行くべきじゃないのと言われて、自分の中で勝負しようと思いきることができました。それに、じつは楽天の二軍は遠征先の相手チームが全部関東なので意外と家に帰ることもできるんです。球団からも許可をいただいていますし」

―― ところで、楽天といえば同じ「松坂世代」の平石洋介監督が正式に就任しました。また、西武で一緒にプレーをした経験のある石井一久氏がGMを務めていますが、どのような経緯で楽天のユニフォームを着ることになったのですか。

「僕は石井さんから連絡をいただきました。西武で一緒でしたが、投手と野手なので電話番号も知らなかったですし、正直つながりが深いわけではありませんでした。最初は電話に気づかなくて、留守電を聞いたら『楽天のGMになりました、石井一久です』と。思わず背筋が伸びました(笑)。ありがたいし、うれしかったですね」

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