苦肉の策で生まれた「2番・源田」は、
首脳陣の想像をはるかに超えた (3ページ目)
「提案といえるほど、はっきりしたものではなかったですけど、打線がまだ固まってないとき、特に2番バッターをどうするかが監督のなかでもポイントだったと思うんです。監督自身、現役時代に1番もしくは9番を多く打たれていた方なので、つなぎの打順に対する要求も高いわけですよね。なかなか、『じゃあ、この選手を2番で』って、合格の判を捺せる選手がいなかった。だから正直なところ、私のなかで残っているのは、もう源田しかいなかった。苦肉の策だった、というところはあります」
橋上が「苦肉の策」と言うのは、あくまでも〈2番・源田〉に関してだ。〈ショート・源田〉については、キャンプ序盤から監督と担当コーチともども「しっかり守ってくれる」との確信があった。
しかし"つなぎ役"の2番として、さまざまな状況に応じて打撃スタイルを変えたり、頭のなかでいろいろなものを考えたり、細かな役割が多い打順を本当に任せられるのか否かはわからない。
結局、使ってみての判断になった。オープン戦残り数試合の動きを見て監督が「2番は源田」と決めたとき、そこで初めて橋上と意見の一致を見た。ただし、2番とともにショートというポジションもキーになるだけに、「開幕から両方を新人に任せるのは酷」という話になり、当初は9番に置いた。
それが5試合目には2番となって固定されると、即レギュラーとして攻守両面で活躍。全143試合フルに出場して打率.270、リーグ2位の37盗塁をマークして新人王に輝いたのだ。指揮官の目もさることながら、源田本人の技量・力量も相当のものだったと言えるだろう。
「能力はもとより、源田はこちらが想像していた以上に野球を知っていました。結果は別にして、ベンチが求めていることを理解しているな、という打席が非常に多かったですから。こういう選手の場合、新人であっても、こちらから言うのは最初のうちだけです。あまり口うるさく言って、より考えさせてしまうと逆にマイナスになることもあります。彼の考えている通りやってもらえればいいのかな、と私が感じたままにしていました」
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