苦肉の策で生まれた「2番・源田」は、首脳陣の想像をはるかに超えた (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 個別に話をし、意識を変えるのに有効なデータを伝え、素直な返事が返って くる。が、いざ試合が始まると、「はい」と言っていたのにまったく違うことをやっている......。そんな就任1年目の状態から考えれば、格段の進歩だった。

 現に17年シーズンの西武の三振数は、全6球団が1000を超えたなかでリーグ3位。同時に得点力はリーグ断トツとなり、2年目で一定の成果が出た。

 もっとも、今年の西武"山賊打線"は浅村に加え、山川穂高、外崎修汰、森友哉と、思い切りよく振る強打者が開幕から常時出場している。橋上はそれを見越していたのか、開幕前、「今年は最終的に、三振の数がまた戻ってしまう可能性はあると思います」と苦笑していた。高い得点力を持つ打線が形成されても、やはり三振の数は気になるものなのか。

「三振を減らして得点が減るのと、三振が増えても得点が増えるのと、どっちがいいかというと、それは得点が増えたほうがいいと思うんですね。点が入らないと勝てないですから。そのあたり、私が言ったことを多少、頭に入れつつ、打席に入ってもらえればいいと思っています。

 あとは辻監督の考えも入って、昨年から使われる駒も変わってきました。どちらかというと、簡単に三振しないようなバッターを監督が何人か起用してますので」

 就任以来、橋上が選手に伝えてきた内容と、監督の辻が選手に伝える内容は似通っていて、だいたい同じ方向だった。このことも選手の意識改革をうながしたと思われるが、「簡単に三振しないようなバッター」といえば、秋山翔吾とともに源田壮亮の名前が挙げられる。

 1年目の昨季はちょうど100個の三振を喫した源田だが、三振率は15.5%。秋山の14.7%と比べて大差はない。あらためて、源田を抜擢した指揮官の目に感心させられるが、そもそも起用を提案したのは橋上だったと報じられている。

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