2018.08.27

苦肉の策で生まれた「2番・源田」は、
首脳陣の想像をはるかに超えた

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

【連載】チームを変えるコーチの言葉~埼玉西武ライオンズ 作戦コーチ・橋上秀樹(2)

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 今でこそ、豪快に打つだけでなく機動力も使える西武打線だが、つい3年前までは違っていた。一発長打は多くても足を十分に生かせず、なにより三振が桁違いに多かった。

 そこで球団は大味な打線の体質を改善すべく、楽天、巨人などで指導実績がある橋上秀樹を作戦コーチとして招聘。現役時代から野村克也の薫陶を受けてきた”ID野球の伝道師”に、まずはチーム三振数を減らすことを求めた。

西武・源田壮亮の2番起用を提案したと言われている橋上コーチ 早速、意識改革に着手した橋上だったが、データを活用する独自の個別ミーティングが選手に合わない面もあった就任1年目。2016年シーズンの西武は3年連続Bクラスに終わり、三振数も減らなかった。

 それでも昨年、新監督の辻発彦が率いるチームで指導効果が現れ始める。特に、新キャプテン・浅村栄斗の変貌が著しかったという。橋上にそのときの状況を聞いた。

「端から見ていても、はっきりとわかりました。特に2ストライク以降の打撃に関して、改善されているところが見えたんです。結局、中心選手がそのように変わると、他の選手がそれを見ながら学ぶ、真似するんですね。いいことにしろ、悪いことにしろ、浅村は影響力がある選手なので、彼が打席での意識を変えた、そういうものを見せ始めてくれたときには確かな手応えがありました」

 実際、2ストライク以降の打撃の変化はデータに現れている。三振数を打席数で割った三振率を見ると、浅村の場合、15年は21.7%だったのが、16年は17.7%に減少。さらに昨年は15.2%と大幅に改善されているのだ。

 もちろん、三振率の改善がそのまま打撃の向上につながらない部分もあるが、浅村に限らずほかの選手についても、昨年途中から意識の変化を実感したと橋上は言う。

「もしかしたら、各選手に伝えてきたことが頭に入ってきているんじゃないかな、と見え始めたときがありました。そうなったときは、あえてこちらから細かく言わないようにしています。私から伝えたことが頭に入って実行し始めているのであれば、今度、新たに疑問ができたら選手のほうから問いかけてくるだろう、と思っていましたので。今はもう、こちらからいろいろ意識させたり、話をしたりすることは減ってきています」