2018.03.04

「打球の角度」は松井秀喜を超えた。
名コーチも唸る清宮幸太郎の弾道

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第20回

 オープン戦も始まり、プロ野球開幕まであと少しと迫ってきた。そんな中、注目を集めているのが北海道日本ハムファイターズのゴールデンルーキー・清宮幸太郎だ。キャンプ前に右手親指を痛め出遅れたが、初スタメンとなった2月28日の台湾プロ野球のラミゴ・モンキーズとの練習試合ではフェンス直撃の二塁打を放つなど、非凡な才能を見せた。名打撃コーチとして数々のスラッガーを育て上げた伊勢孝夫氏の目に"未来のスラッガー"はどのように映ったのだろうか。

(第19回●阪神ロサリオも当確。韓国経由の助っ人が優良なわけを名コーチが説く>>)

高校時代に日本記録となる通算111本塁打を放った日本ハムのルーキー・清宮幸太郎 清宮のバッティングを見たのは2月21日。ちょうど、彼が初めて屋外のフリー打撃をしたときだった。練習後に「楽しかった」とコメントしたようだが、それが彼の現状を物語っていた。

 それはどういうことか......。この時期、ほかの選手は疲れのピークに達しており、とても「楽しい」と口にできる状態ではない。だが、清宮がその言葉を言えたのは、体をいじめていない、なによりもの証拠である。

 理由は言うまでもなく、キャンプ前に右手親指を痛め、3週間ほどフリー打撃ができなかったためだ。残念ながら、3週間の遅れは開幕に間に合わないと見るのが普通だろう。それにバッティングに関して気になるポイントもある。そうしたことを踏まえると、個人的には急いで上(一軍)で使わなくてもいいのではないかと思っている。

 気になるポイントとは、スイングの際の"無駄な動き"だ。清宮は構えたときにゆらゆらとバットを揺らしながらタイミングをとってスイングに入る。それ自体は別にいいのだが、スイングの始動の直前、ほんのわずかだがバットをこねる動作が入ってしまう。おそらくクセなのだろうが、その動きがある分、わずかだが始動が遅くなるのだ。おそらく内角が苦手だと思うのだが、原因はその"無駄な動き"があるためだと感じた。

 人によっては「影響はない」と片付ける方もいるかもしれない。それほどわずかな動きだ。それでも、おそらく今のままでは相手は間違いなく内角を攻めてくるだろう。外角のツーシーム系のボールでカウントを稼いで、まとめの球(ウイニングショット)は内角に集まるはずだ。