DeNA捕手3人の快記録より
「黒羽根のトレード」をコーチは喜んだ
【連載】チームを変えるコーチの言葉〜横浜DeNAベイスターズ バッテリーコーチ・光山英和(3)
(前回の光山コーチ記事はこちら)
他球団が欲しがる捕手を育てたいと語るDeNA光山英和コーチ(写真右) 大洋ホエールズ時代の1960年以来57年ぶり、プロ野球記録に並ぶ3試合連続のサヨナラ勝ち――。「2017年のDeNAで最も印象に残るシーンを挙げよ」と言われたら、この8月22日からの対広島3連戦を想起するファンは多いだろう。
しかし、横浜DeNAベイスターズバッテリーコーチの光山英和にとっては、同じ3試合連続ならサヨナラより完封だったかもしれない。9月3日の対巨人戦に1対0、同5日の対ヤクルト戦に4対0、同6日の対ヤクルト戦に1対0という3試合連続の完封勝利だ。
ましてスタメンマスクは、1試合目から髙城俊人、嶺井博希、戸柱恭孝の順番で日替わりだった。髙城は専任でバッテリーを組む濱口遥大、嶺井はウィーランド、戸柱は若手の飯塚悟史という先発投手を引っ張り、それぞれが救援陣の好投も引き出しての3試合連続無失点リレー。
DeNAの3試合以上連続完封勝利は横浜時代の01年以来16年ぶり8度目だが、異なる3捕手での3連続無失点リレーは球団史上初。プロ野球史上でも2リーグ制以降では1963年の阪神(8月8日〜10日/戸梶正夫、辻佳紀、福塚勝哉)に次いで54年ぶり2度目だった。
価値ある記録を作ったDeNAの捕手3人体制。担当コーチの光山にも手応えがあったのではないか。
「それはもう、ああ、よかったなと思いました。チームの順位が3位と決まった時点で、この先のCSも3人でいく可能性もないことはない、日本シリーズもそう、と考えられましたから」
野球はあくまでも正捕手1人体制がベスト、1人の方が守りは安定する、と考える向きにすれば、「投手陣を完封に導いた捕手をなぜ次の試合で替える?」との疑問が先立つはずだ。
しかし「はじめにデータありき」で、この試合、この球場、この相手打線、この投手──によって、どの捕手を起用すれば勝ちやすいのかを監督に進言してきた光山にすれば、1試合目の髙城が完封に導いたから2試合、3試合と続ける考えはない。
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