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正捕手が消えた。DeNA光山コーチが
明かす「捕手3人体制」の真意

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

【連載】チームを変えるコーチの言葉~横浜DeNAベイスターズ バッテリーコーチ・光山英和(2)

(前回の記事はこちら)

「誰が守れば勝つ確率が高いのか」を最優先すると語る光山コーチ(写真左)「誰が守れば勝つ確率が高いのか」を最優先すると語る光山コーチ(写真左) 2016年2月の沖縄・宜野湾キャンプ。DeNAバッテリーコーチの光山英和は、ひとりのルーキー捕手の能力に驚かされていた。前年のドラフト4位で指名され入団した戸柱恭孝。練習ぶりを初めて見て、「この新人、そこそこいけるな」と思ったという。光山が当時を振り返る。

「日々、キャンプで戸柱と接していくと、もう毎日、伝えたことを吸収するんですよ。それが次の日にできる、あっ、これも次の日にできる。その吸収力は乾いたスポンジのようで、『ああ、こいつ、すごいわ......』と感心させられました。センス自体はそれほど感じなかったんですけど、吸収力と意欲に関しては滅多にいないなと」

 戸柱は鹿児島の鹿屋中央高から駒澤大、NTT西日本を経て26歳でプロ入りした。守備面で「社会人屈指の捕手」と評された即戦力候補は、特に投手の持ち味を引き出すリードで評価されていた。ドラフト下位指名だけに周りの注目度は高くなかったが、キャンプ、オープン戦での競争に勝って、見事、捕手の新人としては珍しい開幕スタメンに抜擢された。

「2年間、戸柱と一緒にやってみて、最初の1カ月がいちばんうまくなったと思います。逆に言うと、その後はちょっと止まっている感じはあるんですけど、彼の最大の長所はピッチャーを引っ張っていけるところ。1年目については『そこそこいけるな』と思った通りでしたね」

 打撃も魅力の戸柱は2016、新人ながら124試合に出場した。打っては2割2分6厘の打率を残し、2本塁打、23打点。山口俊(現・巨人)の先発時に高城俊人が専任捕手になったのを別にすれば、開幕投手の井納翔一に始まり、技巧派のベテラン久保康友から新人左腕の今永昇太まで、主力捕手としていろいろなタイプをよく引っ張った。

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