平凡な才能の選手がプロ野球に
行くための秘訣。名コーチが教えます
名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第16回
どうしたら野球がうまくなるか――これはプレーヤーにとって永遠のテーマである。多くの指導者は「練習するしかない」と選手たちに過酷なトレーニングを課すが、はたしてそれだけでうまくなるものなのか?
昨年のドラフトでBCリーグの石川ミリオンスターズから4人の選手が指名を受けた
その問いに名コーチとして名を馳せた伊勢孝夫氏は「ノー」と断言する。では、野球上達のコツなど存在するのだろうか? 伊勢氏がその方法を伝授する。
私は新聞や雑誌などを中心に野球解説の仕事をさせていただいているが、その一方で大学生の指導も行なっている。現在は、近畿学生野球連盟に所属する大阪観光大学の特別アドバイザーとして指導している。昨年の秋に入れ替え戦で勝利し、一部昇格となったチームだ。
まだ創部5年という若いチームだが、それでもこのオフに2人の選手をBCリーグに送り込むことができた。ひとりは捕手、もうひとりは一塁と三塁を守り4番を打つ選手だ。
実は、彼らについて「プロ野球(NPB)入りはできないだろうか」とある関係者に相談したが、残念ながら厳しいということだった。しかしBCリーグに入団することで、もうしばらく野球ができる。昨今は独立リーグからNPBに入団する選手が目立っているだけに、この2人がこれからどんな成長を見せてくれるのか、今から楽しみにしている。
そのためにもまずは練習が必要だが、ただ必死にやればいいというものではない。ちゃんとした理論も知らずに練習を積んだところで結果は表れない。言うなれば"成長するための秘訣"のようなものがあるのだ。
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