2018.01.16

わずか1勝の剛腕。それでも楽天・
安樂智大は信念を曲げずに復活を期す

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 楽天安樂智大(あんらく・ともひろ)が、昨季、繰り返し述べていた言葉がある。

「今年は何も仕事ができていないんで......」

 2017年は、開幕直前に右太もも裏を故障したことで大幅に出遅れ、登板はわずか10試合。1勝5敗、防御率4.06と成績も伸び悩んだ。安樂の口から、負の感情が漏れてしまうのも無理はなかった。

昨シーズン、わずか1勝に終わった安樂智大

 自分への期待が高かったが故(ゆえ)に、厳しい現実とのギャップを埋め切れずにいた。おそらく、安樂にとって、もどかしさを抱えながら過ごした1年だったはずだ。

 昨年は、安樂が飛躍を遂げる1年となるはずだった。2016年は8月から先発ローテーションに定着。そこからシーズン終了まで3勝、防御率2.35と、翌年へ向けたステップアップとしては、十分なパフォーマンスを披露した。自分への期待感は間違いなくあった。それは、当時の安樂の言葉からも窺(うかが)える。

「後半戦は長いイニングを投げてゲームをつくれましたし、相手としっかり勝負できたんで、すごく自信にはなりました。でも正直、1年間、投げ切ったわけではないので『過信はしたくない』って思いが強くて......。次の年が大事だと思っていますし、『絶対にできる』『2ケタ勝利するんだ』という強い気持ちを持って練習していきたいですね」

 安樂という選手をひと言で述べるのであれば、「練習の虫」である。妥協しない、ストイックとも表現できるだろう。

 制球力を高めるために、投球フォームを細かくチェックしながらコースごとへの投げ込みを入念に行なう。強いストレートを投げるための筋力アップを図るべく、ウエイトトレーニングも欠かさない。そして、食生活からコンディショニングも徹底するようになり、個人的に栄養士と契約するなど、栄養管理にも意識を注ぐようにもなった。