平凡な才能の選手がプロ野球に
行くための秘訣。名コーチが教えます (4ページ目)
「野球は頭のスポーツ」というのがノムさん(野村克也氏)の口ぐせだったが、そうした言葉が特別視されるということは、言い換えれば「それだけ頭を使う選手が少ない」ということでもある。
冒頭で触れた、今回BCリーグに進む捕手の選手は、一昨年まで打率は2割そこそこと打撃はいまひとつだったが、二塁への送球が1.88秒とかなりの強肩だった。そしてなにより彼の最大の武器は、学内でも成績トップクラスという頭のよさだ。捕手にとって一番大事なものは記憶力である。これだけでも、彼は上の世界に行っても伸びしろがあると思った。
そんな選手が、昨年秋は打率3割6分の打者になった。"間"の取り方がうまくなったという技術的な成長もあるが、一番は相手の配球を読めるようになったことだ。もちろん100%というわけにはいかないが、これまで25%だったものが50%になるだけでもまったく違う。こうした小さな取り組みが、大きな結果をもたらすことは大いにある。
ボールを遠くに飛ばしたり、150キロ以上の球を投げたりすることは、誰にでもできることではない。でも、自分の特長を理解し、考える習慣を身につけることは誰でもできることだ。これが野球の上達への近道となるのだ。
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