早すぎたトライアウト。「高卒プロ入り→戦力外」の道に後悔はあるか (5ページ目)
プロ入団後、ケガに泣かされ続けた東方伸友 今回トライアウトの"大トリ"でマウンドに上がったのが、2013年にソフトバンクから育成ドラフト2位で指名されて入団した東方伸友(とうぼう・しんすけ)だ。192センチの長身で浜田商(島根)時代は"山陰のダルビッシュ"と呼ばれ、将来性を買われての指名だった。
しかしながら、東方のプロ生活はケガとの戦いだった。1年目の9月に受けたトミー・ジョン手術を皮切りに、在籍4年間で3度も商売道具の右ヒジにメスを入れた。
リハビリによる出遅れなども重なり、12球団トップとも称される巨大戦力のなかで存在感を放つことはかなわなかった。入団4年目の今季は三軍戦で4試合だけの登板にとどまった。
「悔しさしかなかった」というプロ生活への思いを胸に臨んだトライアウトでは、1安打を許したものの3つの三振を奪うなど、上々の結果を残した。
「ケガとか苦しいことの方が多かったですけど、高校からプロに入ったことに後悔はないですよ」
清々しい表情で球場をあとにした東方。今後については「まだ考え中」だという。
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20代前半という若さで厳しい現実を突きつけられた3人の選手たち。「高卒でプロに進んだことに後悔はない」と力強く語る姿には、熾烈な競争のなかで戦い続けた"プロ"としての矜持(きょうじ)がにじみ出ていた。
まだ何も残せていない――様々な思いを胸に秘めた若者たちは、活躍の場を渇望(かつぼう)している。
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