早すぎたトライアウト。「高卒プロ入り→戦力外」の道に後悔はあるか (3ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

大谷翔平と同期入団の宇佐美塁大大谷翔平と同期入団の宇佐美塁大 2012年にドラフト4位で日本ハムから指名を受けた宇佐美塁大(うさみ・るいた)。同期入団で1位指名の二刀流・大谷翔平が"左のスラッガー"ならば、"右の大砲"候補がこの宇佐美だった。

 広島工高時代は通算45本塁打を放ち、高校3年の夏には甲子園出場を果たした。プロ1年目は内野手の守備面で壁にぶち当たったものの、外野手にコンバートされた2年目以降はその不安も解消。プロ5年目となる今季も、ファームで10本塁打を放つなどアピールを続けたが、層の厚い一軍の外野陣に割って入ることはかなわなかった。

 実は今回、宇佐美はトライアウトを「最初は受けないつもりだった」という。その心境に変化をもたらしたのは何だったのか。

「(二軍本拠地の)鎌ヶ谷のファンの方々から『まだまだ野球を続けてほしい。あきらめないでほしい』という言葉をたくさんいただきました。それに(1年先輩にあたる)松本剛さんと食事に行ったときに『オレだって一軍に定着できたのは6年目。これからだぞ』という話もしていただいて......」

 さらには、高校時代にプレーしたこともある地元・マツダスタジアムが会場だったこともあり、「お世話になった方々に地元でプレーする姿を見せたい」と参加を決意した。

「嫌な緊張感もなく、前日からワクワクしていた」というトライアウトでは、左中間スタンドに飛び込む本塁打を放ち、スタンドから割れんばかりの大声援を送られていた。

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