ドラフトで本指名6人。独立リーグ→プロ野球を急増させた「直接対決」 (2ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by ISHIKAWA MILLION STARS

 近年、"プロ(NPB)への近道"として、独立リーグに進路を求める選手が増えている。先述した西武3位の伊藤もそのひとりだ。伊藤は横芝敬愛(千葉)を卒業後、大学からの誘いがあったが断り、独立リーグへと進んだ。そして1年でドラフト指名という夢を叶えたのだ。

 草創期の独立リーグは、行き場をなくした"野球難民"が集まる場所という印象が強かった。四国ILが発足した2005年に何度か足を運んだが、茶髪、細眉の選手たちがいかにも練習のための練習という感じで繰り返す試合前のシートノックの風景からは、正直"プロ予備軍"と呼ぶには無理があった。

 もちろん、そのなかにはどうしてもNPB挑戦をあきらめきれない野球エリートの姿もあったが、2007年以降、雨後の筍(たけのこ)のように全国に独立リーグが乱立するようになると、選手のレベルは全体的に低下。アマチュア時代に何の実績もない選手も加わるようになった。

 そんななか、トップ選手のレベル向上に大きな役割を果たしたのが、NPBファーム(二軍)との交流戦だった。NPBとの対戦は、目標を明確にすると同時に、足りないものを自覚する貴重な機会となった。また、NPBスカウトたちにとっても、独立リーグの選手たちの実力を目の当たりにできる絶好の場となった。端保もその存在の大きさを認める。

「今では巨人の三軍や楽天二軍との試合は公式戦扱いでやっています。NPBの選手と対戦することで、目標もはっきりしますし、自分がどのレベルなのかを知ることができる。昔から対戦させてもらっていますが、我々を見る目が変わってきたように思います」

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