なぜここに? ロッテ清田、井上が
フェニックスリーグに参加した心情
宮崎市内から車を飛ばして約1時間。東諸県(ひがしもろがた)郡綾町(あやちょう)と聞いても、多くの人はわからないだろう。日韓プロ野球の若手選手が集まる秋季教育リーグ「フェニックスリーグ」は、この片田舎の球場でもゲームを行なう。
「グラウンドはともかく、ロッカールームはなんとかしてほしいです。床が濡れているのは......」
そう選手から不満が出るのも無理はない。土盛りと言った方がいいようなスタンドしかない球場には、着替えのスペースもない。そのスタンドの後ろに設(しつら)えたテントが、とりあえずロッカールームということになっていた。若手に混じりフェニックスリーグで汗を流していたロッテ清田育宏 この日行なわれていたのは、ロッテと韓国プロ野球のサムスン・ライオンズの一戦。ロッテの先頭打者には一昨年のドラフト1位・平沢大河(19歳)が入り、サムスンの選手も背番号3ケタの選手が目立つなど、いかにも教育リーグらしい雰囲気が漂っていた。
そんななか、この場の空気に不似合いな選手たちもスタメンに名を連ねていた。
「今年良くなかったので、きっかけをつかみたいですね」
そう語るのは、この日、5番・レフトで先発出場した清田育宏(31歳)だ。一昨年に初めて規定打席に到達して打率3割、15本塁打を記録。外野のレギュラーをつかんだかに思えたが、昨年から不振が続き、今年は79試合の出場にとどまった。
すでに中堅からベテランと呼んでいい年齢に差しかかっているが、本人はフェニックスリーグへの参加を前向きにとらえている。
「ここではいろんなことが試せますから。結果はともかく、調子が悪いときにどうするのかを模索したいです」
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