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打たれても勝てます。楽天ベンチが
CSで実践する巧妙な「内川対策」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 育成選手として去年、イーグルスと契約したWBCの台湾代表。今年の夏に支配下登録されたばかりの宋は、イーグルスの秘密兵器だ。内川も初めて見る150キロ台のストレートについていけない。

 しかも、ここで嶋が巧妙な動きを見せる。

 2球目、そして4球目。

 一瞬、インコースに構えるふりをして、外角へ構えなおしたのだ。宋にインコースを要求すれば、ボールを置きにいって腕が振れなくなる恐れがある。コントロールに自信があるわけではない宋には、思い切り腕を振らせたい。とはいえ百戦錬磨の内川に、インコースを狙ってこないとは悟られたくなかった。だから、インコースに構えるふりをして、内川に強引なスイングをさせようとしたのである。

 宋が投げた5球のストレートは、すべてアウトハイだった。内川が外のボールに逆らわず、逆方向へ打ち返そうという意識があれば、結果は違っていたかもしれない。しかし内川は、速い球を強引に打ち返そうとした。結果、アウトハイのボールを空振りし、大事な場面で三振を喫してしまった。嶋が、打たれた2本のホームランの残像をうまく利用したともいえる。

 第3戦、イーグルスのマウンドには則本昂大が上がる。今シーズンの最終戦、則本は内川と対戦し、ヒットを2本打たれた。外の速いストレートを右へ弾き返され、外のチェンジアップを拾われてレフト前に運ばれた。果たして今日、則本と嶋のバッテリーは、内川に対してどんな攻め方をするのだろうか――。

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