名コーチが気づいた清宮幸太郎の欠点。修正のためにも早いプロ入りを (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 内ヶ崎誠之助●写真 photo by Uchigasaki Seinosuke

 伝え聞くところによると、彼は筋力トレーニングでも背筋を意識的に鍛えているという。それを聞いて、彼の本気度がわかった。どういうトレーナーについているのかわからないが、ボールを飛ばすのに大事なことは、腕力でも腹筋でもなく背筋である。腕などに筋肉がつき過ぎると、腕力に頼りがちになり、手打ちになってしまう。でも背筋を強いと、軸がぶれずに体全体を使った力強いスイングができるから振り負けない。

"背筋"と聞いて、思い出す選手がいる。かつて日本ハム、ヤクルトの主砲として通算486本塁打を放った大杉勝男だ。陽気だけど熱しやすく、でも気の優しさを持ち合わせた男だった。ただ、選手としての身体能力は、決して恵まれていたわけではない。走らせれば遅いし、腹筋も弱かった。だけど背筋だけは人一倍強かった。私に言わせれば、背筋の強さだけで本塁打を稼いだ男だった。

《大杉は1965年に日本ハムの前身である東映に入団し、1975年にヤクルトに移籍。プロ19年で通算2235試合に出場し、2228安打、486本塁打、1507打点を残した名スラッガーだ。清宮は左打者で、右の大杉とスタイルこそ違うが、清宮がスラッガーの系譜にいることを示しているようにも思える。》

 ただ、逸材に違いないとはいえ、ではプロに入ってすぐに活躍できるかと問われれば、首をかしげざるを得ない。プロの世界では、「高校生は素材」という言い回しがある。たとえ、高校時代に100本を超えるホームランを放ったとしても、清宮くんは素材だと考えるべきだろう。

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