もうガムは嚙まない。DeNA梶谷隆幸が自身を語るロングインタビュー (7ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 調子がいい時も悪い時も、全打席ライトスタンドを狙うかのような荒っぽさ。ファンからの声に心を痛めて精神的に追い詰められてしまう繊細さ。ストイックな肉体改造でムキムキになる一方、食べることに興味がなく夏場に必ず元に戻るもったいなさ。体重を減らさないように、どら焼きをたくさん食べたり、お酒を控えめにしたり。10年間、自分のスタイルを見つけるために悩みに悩み抜いてきた。

 そんな梶谷から、ここ数年「勝ちたい」という言葉がよく聞こえてくる。最下位が続いていた以前から言わなかったわけではないが、その言葉は月日を追うごとにより切実に、現実味を帯びて聞かれるようになってきた。

「本当に勝ちたいという欲がどんどん大きくなっているんです。最終的にチームを勝たせる選手がナンバーワンですよ。なんでもいい。チームが勝つ方向に持っていける選手が一番すごい選手なんだろうなと思うんです。若いうちは一軍に残るのに必死でした。極端にいえばチーム状況より、とにかく自分の結果が欲しかったんです。でも2年3年とレギュラーで使ってもらっているうちに、チームが勝たないと、自分の存在意義がないということに気がつくんです。昔は自分のことしか考えてないから、ファンの声に本当に落ち込んだり腹が立ったりしていましたけど、今はもう何とも思わないですね。若い選手がファンからの声に腹を立てていても、『いやいや、俺も昔はあったよ。結果を出せば何も言われなくなるよ』なんて言葉も出ますから(笑)。

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