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「150キロを投げた自分はもういない」。
元西武・森慎二が語る大ケガ (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──森さんはその後、デビルレイズを解雇され、日本に戻ってリハビリを続けていました。2009年は独立リーグの石川ミリオンスターズで投手コーチ兼選手としてプレーすることになりました

「肩さえ治れば、またプレーできると思っていたから、治すことだけを考えました。いろいろな後悔は脇に置いて、『どうすれば投げられるようになるか』だけに集中しました。それは最後までずっと変わりませんでした。

 でも、途中まではうまくいくのですが『これ以上やったら抜ける』というところで、前に進めなくなる。どうしても『抜ける!』という感覚を拭い去ることができませんでした。バンザイの姿勢をしても、右手はまっすぐにはなりません。まっすぐに上がらない右手でボールを投げる体勢にもっていくのが大変で......強いボールを投げようとするとグッと胸を張らなければなりませんが、そのときに『また傷めるかも』と思ってしまう」

後悔も「やり切った!」という思いもない

──実際の痛みよりも、恐怖感との戦いだったのですね。

「傷める前にはなめらかだった肩の筋肉や関節の動きが、どうしてもギクシャクしてしまいます。それに、肩を脱臼したときのイメージはずっと残っていました。『もういいや』と吹っ切れたのは、ずいぶん経ってからですね。

 独立リーグでは、ものすごく温かい目で見ていただきました。やっとピッチャーらしいフォームに近づいて、最終的には138キロのスピードボールが投げられるようになりました」

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