「マー君、マエケンと同じ匂いがする」寺島成輝、プロ１年目の青写真 (4ページ目)

　口にしたのは、相手を抑え込むよりも傷口を最小限にとどめるためピッチングであり、まさに寺島らしい注意点だった。

　プロ１年目、ヤクルト首脳陣は寺島をどう使っていくのだろうか。思い浮かんだのはPL学園から広島に進んだ前田健太（現・ドジャース）の成長過程だ。前田のプロ１年目は一度も一軍に上がることなく、二軍のローテーション投手として、技術、体力、駆け引きを身につけていった。確固たる決め球がない寺島にとっても、いきなり一軍の打者相手に投げるよりはじっくり二軍で経験を積むことも悪くないと思っていた。

　ただ、ヤクルトは昨年のチーム防御率12球団ワーストが示すように、危機的な投手不足に陥っている。寺島を即戦力として指名したのは明らかで、前田のような育成ができないチーム事情がある。一軍デビューの早さがスケールアップのための準備期間を削いでしまうのでは......という不安もある。

「そこについても、とにかくやってみないとわからないので......」と寺島は繰り返すが、自身の成長に期待していることは間違いない。なかでも、特に求めているのは体の成長だ。フォーム的には、指導本に載せたくなるような無理、無駄のない美しい形をしているが、寺島自身は股関節の柔軟性と使い方、背中のしなりを今後の課題に挙げている。履正社はトレーニングに力を入れているチームで、寺島も強い関心があり、それだけにプロでの指導を楽しみにしているという。