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「マー君、マエケンと同じ匂いがする」
寺島成輝、プロ1年目の青写真 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 昨年末に行なった取材でも同様のフレーズを繰り返していた。

「ボールのレベルとか、バッターとの感覚とか、そこは自分がいちばんわかりますから。まだ一軍では無理かなと感じたとしたら、落とされると思いますし、手応えを感じることができれば、そのままいきたいと思いますし......」

 キャンプの一軍帯同はすでに決まっているが、その感覚はいつ頃わかってくるものなのだろうか。

「キャンプに入って、ほかの選手と一緒にプレーしたときの動きだったり、ピッチャーの球の質だったり......。そこはブルペンでわかると思います。(昨年の)夏にU-18で大学生と練習試合をしたときでも、投げるとすぐに高校生のバッターとの差を感じました。決めにいったときの球を簡単にファウルにされたりして、『やっぱり違う』と。そのときも『これがプロならヒットにされるんだろうな』と思ったりしましたね」

 感じる力が極めて高い──これが寺島の最大の長所でもある。観察力、洞察力、判断力を生かし、相手の力や戦況を見て、その時々に合わせたピッチングをすることができる。さらに、修正能力やリスク回避能力も長けており、経験や失敗を必ず次に生かす。一見すると地味に思える特長だが、技術レベルが拮抗するプロの世界だからこそ、"頭脳"の部分が結果を大きく分ける。

 これまで20年近く、アマチュア球界のドラフト候補を取材してきた。高校時代の田中将大や前田健太、藤浪晋太郎らに強く感じた部分は、強豪校のエースとして負けられない戦いのなかで磨かれてきた"投球のうまさ"だ。そして寺島にも彼らと同じ匂いを感じる。

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