門田博光の野球ロマン。
「筒香も大谷も、ホームランに恋をしろ!」 (4ページ目)
「30本の壁を破っても、まだ40本の壁がある。『そこも破ったるわ!』と突破したら、『王(貞治)さんは何本打ったんや? よし、55本か。そしたら60本をターゲットにしよう』と。そうなったな」
1979年にアキレス腱を断裂したことで、いよいよ"アーチスト"としての覚悟も決まり、ホームランに恋した男の欲は止むことなく続いた。そして気がつけば、高校時代までホームラン0本の男が、プロ23年間で王貞治、野村克也に続く、歴代3位の567本塁打を記録するまでになっていた。
「今のプロ野球を見ていても、ホームランを打てるヤツはおるんですよ。身長170センチぐらいのワシでもあれだけ打てたんやから」
ため息交じりの会話が続いていたが、門田の表情に明るさが宿ったのは筒香嘉智(DeNA)と大谷翔平(日本ハム)の話題を向けたときだ。特に、大谷を語るときの口調には熱がこもった。「手は長いし、ダルビッシュと同じように安定感もある。打席であの球がどう見えるんか、立ってみたいわ」と投手としての資質を絶賛したあと、打者・大谷の解説に入った。
「オレが見るときは、(腕が)ひたすら縮んだまま打つことが多い。伸びきっていないから、見ていると打球はセンターからレフト方向が多い。あれがもっと右中間に集まりだしたら、出来上がってくる。いまの縮んだままのポイントは、追い込まれて(右投手の)スライダーが内角寄りにきたときの打ち方。ここが今年、どうなるかや」
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