元ホークス斉藤和巳が今だから話せる、
復帰を目指した地獄の日々
シリーズ「もう一度投げたかった」──斉藤和巳(後編)
パ・リーグ史上唯一の沢村賞2回に輝き、福岡ソフトバンクホークスでスーパーエースとして君臨した斉藤和巳──。しかし、6勝をあげた2007年を最後にマウンドからその姿を消す。
右肩の腱板損傷──。自身2度目、3度目の手術を経て、再起をかけた過酷なリハビリ生活を送るが、それは日常生活にも支障をきたし、毎晩悪夢にうなされるほどの苦しみをともなうものだった。投手が身体にメスを入れるとは、どういうことなのか。自分自身と闘った6年間を振り返り、率直に語ってくれた。
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2006年、日本ハムとのプレーオフでサヨナラ負けした場面は、今もファンの記憶に残る
痛みや違和感が出たらスタート地点に逆戻り
――毎晩、悪夢を見るほどのリハビリ生活。何を支えに頑張ったのですか。
斉藤 僕が恵まれていたのは、まわりにいい人たちがいたことです。アリゾナではヨガの先生をはじめ、多くの方々に支えてもらいました。本当にしんどいときに誰かが見ていてくれるのありがたい。だから、頑張れたんだと思います。
――手術した箇所の痛みがなくなり、体が動くようになってからが本当のリハビリだと聞きます。
斉藤 ボールに触るまでのリハビリは比較的順調にいくものです。問題はボールを投げるようになってから。そこから先はなかなか計算通りにはいきません。リハビリ経験のない人は計画表通りに進むと思うかもしれませんが、現実は厳しい。ちょっと前に進んでは戻っての繰り返しです。これが精神的につらいところ。
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