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「野々村イズム」を胸に。
阪神5位の糸原健斗は魂でプレーする男 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 大学時代に拳ひとつ分短く持っていたバットは、いまは指数本分余らせる程度になっている。「バットを短く握ったことでバッティングが小さくなってしまった」という反省からだ。そして、ドラフト解禁となる2016年は打撃面で手応えをつかんだ。

「1年目は逆方向にクリーンヒットが多かったのですが、今年に入って引っ張って強い打球が打てるようになってきました。筋トレの効果で飛ばせるようになったと思います」

 糸原は高校時代から広島にあるトレーニングジム・アスリートの平岡洋二代表に師事し、ウエイトトレーニングに取り組んでいる。このアスリートは、阪神の金本知憲監督が現役時代から通っていたジムだった。

「金本さんがいかに現役時代にストイックに取り組んでいたか、平岡さんから話を聞いていました。ウエイトトレーニングをしたことで、打球が飛ぶようになりましたし、変化球で崩されても下半身とリストの強さで拾えるようになりました」

 9月27日に行なわれた大阪ガスとのオープン戦では、糸原にとって運命的な出来事があった。大阪ガスの今津総合グラウンドのバックネット裏に、金本監督が視察に訪れたのだ。

「チームの監督からは『酒居(知史/大阪ガス→ロッテ2位)を見にきただけだから意識するな』と言われたんですけど、もちろん意識しました」

 その試合、糸原はセンター前ヒットを1本打っただけで、「アピールできた手応えはなかった」という。しかし、アスリートの平岡代表づてに糸原のことを聞いていた金本監督は、その興味を失うことはなかった。その後、糸原の明治大時代の後輩である高山俊、坂本誠志郎の2人を監督室に呼び出し、「糸原、どうや?」と聞いたという。

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