まさかのDeNA防御率トップを支える、ルーキー戸柱恭孝の安定感

  • 山口愛愛●文 text by Yamaguchi Aiai
  • photo by ©YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 横浜DeNAベイスターズが、今季初の6連勝で最大11まで膨らんだ借金を返済し、勝率5割に戻したのは5月28日の広島戦。ヒーローインタビューでは、自身4連勝となる先発の今永昇太、先制2ランを放った筒香嘉智に挟まれ、須田幸太が「今永が本当に頑張っていたので、それを継いで絶対に抑えてやろうと頑張りました!」と声を弾ませると、この日一番の拍手が鳴り響いた。

開幕からマスクを被りDeAN投手陣をリードする戸柱恭孝開幕からマスクを被りDeAN投手陣をリードする戸柱恭孝

 7回の表、今永が一塁への悪送球でピンチを招き1点を失い、2−1と1点差に追いつめられ、須田にマウンドを託す。

 二死満塁で迎えたバッターは、満塁での得点圏打率8割の菊池涼介。外角低めを丁寧につくが菊池はファウルで粘り、7球目はボール球でインコースに攻め、ついにフルカウント。8球目に投じたのは、鋭く曲がった外角のカットボール。菊池は手が出ず、見逃し三振に打ち取った。1球前のインコースのストレートが生きた勝負球だった。須田は試合後に「決め球は投げたいボールと戸柱のサインが合った。気持ちが合うといい球がいく」と振り返った。

 先発の今永は、開幕から4戦を好投しながらも打線が沈黙し勝てない日々が続いた。リードする戸柱恭孝は駒沢大学の先輩で、バッテリーを組んだ経験もあり絶大な信頼を寄せている。今永の伸びのあるストレートを生かそうと、開幕当初は強気の攻めが目立ったが、プロの世界ではそのストレートは簡単に運ばれてしまうこともある。カーブを織り交ぜ緩急のあるリードが増え、今永は5月に入り4連勝。新人の月間4勝は54年ぶりとなる快挙となった。

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