3年目の初勝利。ドラフト6位を育成した「二木康太プロジェクト」 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 そして、驚いたのはそのコントロールだ。構えたミットに投げ込まれる確率を示す“コントロール率”は、終盤の7回まで74%をマーク。プロの一軍クラスの制球力があることを証明した。

 メンバー表を見ると、二木は2年生になったばかりで、江口の1つ下だった。これだけ理にかなったピッチングフォームを持ち、球威、制球力も抜群。とんでもない投手を発見したものだと興奮を隠し切れずにいた。

 翌年のドラフトで千葉ロッテマリーンズから6位指名された二木を見て、「そんなものじゃないだろう!」と秘かに反発を覚えたが、「絶対に二木はものになる」と、2年間ずっと追っかけてきた。

 1年目は、1シーズン投げ続けられるための体力づくりに専念し、“陸上部”のごとく走り続けた二木。そして2年目の夏前あたりから、ファームの主戦格として先発ローテーションに名を連ねた。投げるたびに6~7イニングを1~2点に抑える好投で、試合をつくれることをアピール。

 なかでも8月29日、イースタンリーグでの日本ハム戦は、7イニング投げ、許したヒットは大嶋匠の本塁打だけ。2年間ファームで鍛えた成果を見せつけ、10月5日の一軍昇格につながった。

 この試合、序盤から5イニングのロングリリーフ。いきなり難しい仕事が回ってきたが、なんとか1失点でしのぎ、今年の春季キャンプでの一軍スタートにつなげた。

 もともと、<数字>でおどかすタイプじゃない。187センチの長身と長いリーチを合わせた3メートル近い高さから投げ下ろされる“角度”と、地上30センチほどの低いゾーンにすべての球種を集められるコントロール。それが、高校時代からの二木の持ち味だ。

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