2016.04.19

3年目の初勝利。ドラフト6位を育成した「二木康太プロジェクト」

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 別に、二木康太(ふたき・こうた)を見に行ったわけではなかった。もちろん、その頃は二木の「ふ」の字も知らなかったわけで、その日の目当ては鹿児島工業の剛球右腕・江口昌太だった。

 2012年4月1日、三塁側スタンドのはるか向こうに桜島の煙たなびく県営・鴨池球場。春の鹿児島県大会の、たしか1回戦だったと思う。

4月12日の楽天戦でプロ初勝利を挙げ、伊東監督(左)に祝福される二木康太

 その試合で江口はすばらしいピッチングを見せた。立ち上がりから4者連続三振を奪い、勝負球はすべてストレート。腕が長く、181センチの身長がさらに高く見えて、しなやかに腕が振られるから球持ちがいい。リリースで2本の指がボールの縫い目にしっかりかかるから、「6」の力で投げても、「9」の威力のストレートが捕手のミットにドスンと突き刺さる。典型的なパワーピッチャーだ。

 ちょっと気を抜くとボールが高めに抜けることがあり、4回までに4つの四球を許したが、その倍の三振を奪うなど、持ち味は十分にアピールしていた。

 その江口は今、社会人4年目でドラフト上位候補に挙げられている。高校卒業後、社会人野球の強豪・JX-ENEOSに進み、昨年もドラフト候補として注目を集めたが、調子の波が激しく、本領を発揮しないまま、プロからの指名もなかった。今季はシーズン早々から投手陣の主軸のひとりとして、順調にプレーを続けている。