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オリックス金子千尋、5度目の開幕投手を前に語る「エース論」 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― そういう意味では、プロ入りしてから一度も負け越したシーズンがなく、通算でも97勝54敗。これほど負けない投手でも、まだ優勝経験がない。一昨年は、投手にとって最高栄誉である沢村賞を獲得されましたが、チームは優勝を逃しました。喜びきれないところはありましたか。

「ありましたね。一昨年はトータルで見れば、僕のなかでキャリアハイ。でも、2014年がどんなシーズンだったかと振り返ると、勝てなかった悔しさしか出てきません。正直、沢村賞を獲ったことも、MVPに選ばれたことも、強く残っていないんです。やっぱり勝たなきゃダメだと思いました」

―― チームも96年を最後に優勝から遠ざかっています。金子投手としても、メジャー移籍の話がありましたが、残留する道を選びました。より優勝への思いが強くなったと思います。

「メジャーに行く選手は、『優勝を経験してから』という流れがなんとなくあるじゃないですか。いちばん印象に残っているのはマー君(田中将大)ですけど、僕もメジャー移籍か残留で迷っていたときは、オリックスで優勝したいという気持ちがあったのは事実です。正直、そこが引っかかっていました」

―― 人生初の優勝の瞬間、マウンドにいたとすれば、普段はクールな金子投手でも弾けるのでしょうか。

「どうですかね(笑)。試合でピンチの場面を抑えたときには、多少ガッツポーズをしたいなと思うときがあるんです。実際にしたことはないですけど」

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