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オリックス金子千尋、5度目の開幕投手を前に語る「エース論」 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 以前、長野商時代の監督やコーチ、チームメイトに話を聞いたことがあります。センバツ出場を決定的にした1年秋の北信越大会準決勝の話をみなさんされました。大一番で延長12回を投げ切り、1-0の完封勝利。ある先輩は『あの試合でコイツすごいな』と思ったそうです。

「懐かしいですね。でも、あのときは、他の高校球児には失礼な話ですけど、そこまで甲子園に出たいという思いがありませんでした。だからこの試合に勝てば甲子園というプレッシャーもなく、ただ試合で投げたいという気持ちだけでした」

―― 本当にチームの命運がかかった、重圧のなかで臨んだ試合というのは2011年と……。

「数えるほどですね。常にそういう気持ちで投げていますが、本当にこの一戦で優勝が決まるという試合で勝ちたいですね」

―― 2011年の最終戦というのは、やはりいつもの心理状態、投球ではなかったのですか。

「いつも通りに投げなきゃと思っている時点で、いつも通りではなかった。もう一度、ああいう試合があれば、結果はわからないですけど、以前とは違う精神状態で投げられると思います」

―― シーズン前に具体的な数字や目標は立てられますか。

「ほぼ立てないですね。以前は200イニングを目標にしていた時期がありましたけど、今は『貯金を少しでも多く』ですね。単純に15勝13敗と8勝0敗だったら、後者の方がいい。そこも負けない投手というところにつながると思います」

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